7月26日 (晴)


ミーンミーン……
そんな蝉の声で目が覚める。

蝉の声を聞いてやっと夏らしくなったな。
と思うようになった。

にしても、
「あっちぃー」
ベットの側にある窓から朝日の光が差し込んでくる。

いつも蒼空は上がTシャツで下がジャージという格好なのだが、最近はこれでも暑さを感じる。

何かニュースでお天気お姉さんが「今年の夏は昨年より涼しく過ごしやすいでしょう」とかにこやかなベストスマイルで言ってた気がするんだが……。

まぁいいか。

「お兄ちゃーん、朝だよー、起きてるのー?」
下から我が妹の声が聞こえてくる。
ちなみに俺の部屋は2階だ。


―――あぁでもなぁ、ねみぃなぁ……
「お兄ちゃんってばっ!聞いてるの?」

―――でも暑いしなぁー、どうしよっかなぁー……
「お兄ちゃん!……全く…」



ガチャン!

「お兄ちゃん!!……ってあれ?」
「うおっ!?びっくりした~。いきなり入ってくんなよ」
俺が悩んでいるうちに上がってきたみたいだ。

でも何でアイツは表情が驚きに満ちているんだ?

「お兄ちゃんが…お兄ちゃんが私が起こす前に起きてる……」
「ってそんなことかよ!!」

「そんなことって今まで自分で起きてきたことないじゃない」
それはそうかもしれな……くないわっ!
何故かここでそれを認めてしまったらダメだと思い自分の中で否定した。
ノリツッコミでもないぞ。ただ方向転換しただけだっ!

「じゃあ俺はお前がいないと起きられないとでも?」
そうだ、俺は一人でも起きられる。

「うん、今日はたまたまだね。こんなに珍しい日はないよ。今日、何か起こったりしない…よね?ってか起きてるなら返事ぐらいしてよ」
「めんどくさかった」

「ぐふっ」
強烈な痛みに思わず方ひざをついてしまう。
腹部に中三とは思えない猛烈なボティブロが決まっている。
妹はそのまま何も言わずに下へと降りていった。

俺が降りられたのはそれから数分たった後だった。