んで入ったのはいいんだが…。
気まずい……

なんなんだ、これ。
まだお互いに10分以上話してないし。

そもそも何で彼女がここにいるんだ?

これって聞いてもいいのか?

あー、わかんねぇ。
何で俺バス停なんかに入ったんだよ…

そう思いながら蒼空は隣で座る紫乃月を横目で見る。

……!!

「何で傘持ってないんだ…」
何で傘も持ってないのに全く濡れてないんだ?

「一体いつからここにいたんだ?」
今日は昼かすずっと雨だぞ。
そして今は8時前。

そんな蒼空の疑問に答えるために彼女の口そっと開く。

「私、空好きなんです。どんな空も…」
この前も言ったじゃないですか。と彼女はクスクスッと笑う。

「それ、答えになってないですって」
あははっ。そうですよね、と彼女の返事。


「でも、どんな空も全部、私の心の中が表されてるような気がして」
彼女は空を見上げる。…悲しい顔で。

だがすぐにニコッと笑い蒼空をみる。

「可笑しいですよね、心の中だとかどうとか」
ニコッが苦笑いに変わる。


「可笑しくなんてないですよ」

「そんなの俺だってそう思ってますし」
その時俺は笑っていた。
なんとなく仲間だっ!って思えたからだ。

「えっ」
また苦笑いが驚きに変わる。

「何か自分に迷いとかない時は雲一つない青空だったり、へこんでる時は大雨だったりしますよね」
たぶんこういう事なのだろう。

「はい!そうですよね、やっぱり…」


ん?
「あの、やっぱりって?」

そう聞くと、彼女は両手をブンブン振りながら、
「い、いえ、以前会ったときにもしかしたら私と同じ人なのかなぁ~って思ってましたから」
彼女も俺と同じことを思ってたのか。
蒼空はなんとも言えない気持ちになったのだった。


その後、何でもない他愛な会話をしていると、雨雲も過ぎ帰ることになった。

だが時間も共に過ぎて行ったのだった。

「ってもう10時かよ!!!!」