「蒼空にい」
俺の妹、明星(みい)の周りから、
とてつもない殺気が溢れている。
「はい……」
そして、俺は玄関で正座……。
「今は何時か分かるわよね?」
明星は冷たい、物凄く冷たい笑顔で問いかけてくる。
右手にギラッと輝く包丁を持って…。
「7時ぐらいです……」
俺は妹の顔を見らずに答える。
それにしても、包丁が気になってしょうがないんだが……。
あっ、きっと料理の途中なのだろう。
そうに違いない。………そう信じよう。
「分かってるじゃない。その通りよ。でも蒼空にぃが言った時間は何時だか覚えてる?」
「5時です」
ヤベー、こいつ相当キレてるな…。
顔の表情が一切変わらなし。
っか人ってこんな無表情で笑えるんだな…。
そして、説明しなければならない、この状況を。
妹が何故、キレているのか?
何故、俺がこんな目にあっているのかを。
まぁ今までの流れで分かりきってると思うが……。
俺が紫之月さんと話していた時間帯が5時、
そこから俺の家まで歩いて1時間。
後は、帰りに商店街での食べ歩き。
それで時間が遅れ、さらに俺は色々食べたのでもう腹には何も入らない。
まぁ今回は俺が全て悪いのだ。
そして、今に至るってわけだ。
「そうよね、そう言ったわよね。なら何で遅くなったのか理由を述べなさい」 う
「いや、転校の……」
そこまで言って蒼空は口ごもる
「はっ、てんこう?」
ここで転校の話はマズイな、明星にも迷惑かけたくないし。
転校するかどうか決まってから話そう。
「いや、今日は天候がよかったな~って」
あははってこんなんで誤魔化せるのか……?
「まぁ今日は天気はよかったわね」
ほっ、よかった。バレてないみたいだ。
「でも今、それは必要な事かしら?」
あれ、何かさらに殺気オーラ増えてる……?
なんで……?
「それは……」
必要なわけがない。
『転校』ならまだしも『天候』は。



