これが、幼い頃に本で読んだ"魚人"という海で暮らす幻の一族らしかった。魚人は、ルナの首根っこを掴み、右手を調べている。

 不意に、ルナの体が光った。


「うわぁっ!」

 思わず、目を閉じる。


「誰かと思ったら、オマエか、ショーン」


 聞き覚えのある声に目を開けると、手前に一人の少年がいた。後姿だからよくわからないが、黄緑の髪をうなじまでのばした、色白の少年だった。

 この声だ。さっき、呼びかけてきたのは。

 でも、誰だよ、こいつ?