ソラ、トボケルシカナイ。

 ゲルブは、魔力を持つものを恨んでいるのだから。


「っていうか、闇の中でも花って咲くんだね」

「うつけ!闇の中に花なんかが咲くかよ!!」


 そう吼えて、ゲルブはルナに毛皮のベストを放ってきた。


「きゃっ」


 ベストが顔に直撃する。


「それ、やるよ。お前が今の恰好だと俺、死にそうだから」


 ゲルブは、顔を真っ赤にして、ルナに背を向けた。

 ルナは今の恰好を見る。


 白いキトンが、水に入っていたせいで濡れ、透けているから下着が見える。

「………」


 ルナは黙って、ベストに頭を通した。裾が、膝までのベストは、ゲルブがけがしたときも着ていたから、背中にも胸にも穴がある。結局は、あまり変わらなかった。