ゲルブは目を開けた。何かの気配を感じて、辺りの様子を窺う。

 
 まだ、養成所にいた頃の鋭い勘がゲルブの中で生きていれば、おそらく、囲まれている。


「誰だ!?」


 ゲルブは、叫んだ。

 それが引き金となったように、薄暗かった空間が明るくなる。

 真っ先に目についたのは、水晶の柱たち—ここは、水晶宮のようだ。


 続いて、目に入ったのは—


「引っ掛け(トラップ)か!?」


 ゲルブの正面、左右、後ろに立っている、自分自身。