ハックはこの工場で
本当によく頑張った。

冬日町の人々は
街はずれに
煙が立ちのぼると

「ハックが働き始めた」
と朝の挨拶を交わし、

その煙がしゅるしゅると
引っ込むと

「ああ、そろそろ寝る時間」
とおやすみなさいを言い合った。

ハックの「魔法」は
とどまることを知らず
誰も見たことのない
スイーツを次々生み出す。

天使の羽のように
やさしく心を包む
バナナ・スフレ

ほろ苦い恋を思い出す
大人味の抹茶プディング

思わず愛の言葉を
囁きたくなる
甘い 甘い ピカンテ・パイ

遠く砂漠の風景が見えるような
アラブのバラの
コンフィチュウイール

その味に誰もが魅了され
ハックの名声は少しづつ
この街に広まっていったんだ。