その日なぜサッカーを
見に行ったのか…そんなこと
とっくに忘れてしまった。

ただ覚えているのは
先輩の白いボールを必死に
追いかける姿だけ。

先輩の姿が私には眩しくて
まるで太陽のような
人だと思った。

この試合は結局0-1で終わり
3年間続けてきた部活に
引退という終止符が打たれた。

みんな悔し涙を流していた。
しかしそんな中
一人だけ泣かず笑っていた先輩。

それを見たとき私は
さっきまでの考えを訂正した。

この人は太陽のような人ではなく、
必死に太陽を見ようと
上だけを見ようとする
向日葵のような人なのだと。

それと同時に先輩に
大きな興味がわいた。
きれいに咲く花の下に
輝く笑顔の下に、
どれほどの影があるのか。
無性に知りたくなったのだ。