冬の向日葵

入学式が終わると1年は一斉に
自分の教室へと移動しはじめた。

人の波に流されながらも
やっと教室の前までたどり着いた。
クラスの雰囲気を確かめるように
恐る恐る教室に入る。
すると見覚えのある人物を見つけた。

「昴?」

私の目線の先にいた一人の男子が
ゆっくりと振り向く。

「ん……波瑠!?」

振り向いた男子は
私の幼なじみの石黒昴だった。

昴が櫻高校に合格したことは
母親から聞いてはいたものの
一学年10クラスもある中で
まさか同じクラスだとは
思っていなかった。

昴も私と同じ考えだったようで
とても驚いた顔をしていた。