秘めた想い【短編】

野次馬の群れから少し離れたところで長身の男とミニスカートの女が会話をしている。

男は地面に胡座をかき、にやけ顔で女を口説いている。

その男のジーンズのポケットから、光を反射して、きらびやかに光る物体の一部が飛び出している。

女に顔を近づけるのに前屈みになった男のポケットから飛び出して、

そのまま背後のコンクリート上にに全身を表したのは、

厳つい形をしたバタフライナイフだった。


男は慌ててそれを拾い、再びジーンズのポケットにしまった。

女は冷めた表情でその場を去った。

慌てて後を追う男の視線の先に、パトカーが目に入り、

男は反対方向に静かに姿を消した。