秘めた想い【短編】

カバンの中から鍵を取り出し、鍵を開けて部屋に入る。


そこには最近までの生活感がまだ残っている。

彼は急いで寝室に行った。

中に入ると床に一昨日に自分が飲んだ風邪薬の空き瓶と幾つかの錠剤が転がっていた。

それを手に取り、中身を確認する。

散らばった錠剤は白色で確かに前からこの家にあった風邪薬と同じ丸い形のものだった。

一昨日前、確かに彼はこれを大量に飲んだ。

こんなに飲んだのに何故私はこんなにも軽症で済んだんだ?

夫は寝室の妻の箪笥を全てひっくり返した。

服を投げ捨て、アクセサリーも散らばしながら一つ一つあさった。

最後の引き出しを取り出し探ってみると、彼はビタミン剤のビンを見付けて手に取った。