秘めた想い【短編】

「お兄ちゃん…。

お願いだから自分を大切にして…。

そうじゃないと貴子さんもうかばれないよ…。

きっと今回は貴子さんが助けてくれたんだと思うよ…。」


真弓は涙ながら兄に立ち直ってもらいたい一心で訴えていた。


真弓の励ましとは裏腹に彼の脳裏には絶望だけが残った。

そうだ…。

また邪魔された。

きっとあいつは私がどんな思いで自殺未遂をしたかも知らず、

面倒だからってこの世に追い返したのだな。

あの世での更なる自由奔放な生活を送る為に。


あいつはまた無神経に私の行動の邪魔をするんだ…。

夫は病室のベットの上で、声を殺して泣いた。

妻が死んで、初めて泣いた。


そんな兄の姿を見て真弓はまた真剣な顔をして話始めた。