秘めた想い【短編】

「とりあえず落ち着いているようですが、気分はどうですか?」

「何だか…体がだるいです。あの…ここは…?」

言いたいこと全てを話す気力がない。

ドクターはそれを察して自ら話し始めた。


「工藤さん…一昨日の夜、急患で運ばれて来たんですよ。

病院に着いた時には意識は無く、胃の中から大量の錠剤が確認されてすぐに胃を洗浄しました。

処置が早かったので胃の中の錠剤もまだ消化せずに残っているものもあり、大事には至りませんでした。

まだしばらく胸がムカムカするとは思いますがじきに落ち着くと思いますので心配ありません。

とにかく少し休んで下さい。」

そう言ってドクターは病室を出て行った。



「あの…。」

残った看護師に彼は声をかけた。

「工藤さん、無理して話さなくていいですよ。

ご家族には連絡済みです。

妹さんが付き添いでいらっしゃってますが、今は入院手続き中です。」


ふぅ…。

返事の代わりに一つため息をついた。