秘めた想い【短編】

ゆっくりとした足取りでドクターが彼に近づき、覗き込む。


「工藤さん。気が付きましたか。良かったです。

昨日のこと、覚えていますか?」

そう言いながらドクターは脈を取る。

「いいえ…。」

力ない声の彼にドクターは優しく微笑んだ。

「とりあえずちょっと診察しますね」

昨日の話の追求はひとまず置かれ、ドクターは彼を寝かせたまま、胸元を開けて軽い診察をした。

そして看護師に何かを伝え、捲られた布団を再び彼に掛けて言った。