「お兄ちゃん!一緒に乗って行く?」

全てが無事終わり、親族も解散し始めたのを見計らって工藤は帰り支度をしていた。

妹の気遣いは有難かったが、早く家に帰ってしたいことがあった彼は、その好意を断った。

「一人で大丈夫…?」

心配してくれている妹に

「ありがとう。大丈夫だから。」

と伝えて、先に帰るように促した。

すっかり落ち着きを取り戻した兄の姿に安心した妹は笑顔を見せて車を出した。

工藤は妹の車を見送って、荷物をまとめて、ゆっくり歩き出し、その場を離れた。

自宅までの道のりはそう足取りも重くはなく、

心は晴れていた。


彼の心には一つの決意がどっしりと構えていた。


その決意と共に彼は静かに今日から一人暮らしになった自宅に足を踏み入れた。