秘めた想い【短編】

しかし、そんな結婚生活も今日で終わった。

夫は思った。

私は解放された。

自由になった。

一人になって、今度は私が彼女みたいに自由奔放な生き方をしてやる。

誰にも邪魔させない。

私の好きなようにさせてもらう。

この先の生き方は自分が決めていいんだと思うと夫は解放された気持ちになった。


大変だった結婚生活からも、一人になる寂しさからも、解き放たれたのだ。


明日以降の自分に目星を付け、工藤は葬儀に集中した。

全ては妻を見送ってからでも遅くはない。

次に待っているのが自由であることは間違いない。

そう思ったら涙は出なかった。