桜君が玄関から出てきてから 体育館へと向かうまでのほんの数分だけ 彼をこの特等席から見るのが私の日課。 桜君が体育館に行ったのを確認して 私も教室を出て、家に向かった。 ――その日の夜 「ふう〜熱いっ」 お風呂から出てきて部屋に戻ると ベッドに置かれている携帯が緑色に光っているのに気づく。 緑色はメール受信の合図。 「真紀ちゃんかな〜?」 携帯を開くと… <メール受信1件 山本君> 普段あまりメールはしない山本君から珍しく来ていた。