清二の気迫に押されて春子は策をひねり出した。
数日後の晩に新発売の缶チューハイを持って
塩山邸を二人で謝罪に訪れる。

ヨネは春子が引き止めておく。清一と清二が二人
きり乾杯をすることができればもう殺ったも同然。

時間は小百合とヨシバアが床についた頃、10時
が一番いい。後は二人で清一を病院に連れて行く
といって担ぎ出せばこっちのものだ。

全てはうまく行くと思えたのだが・・・・。

数日後の長野県警本部。刑事課で田中刑事が
鑑識の山本と話している。

「で、清二の胃の中の薬物は?」
「青酸カリでした。致死量に達しています」
「ということは、死因は溺死ではなく服毒死」
「はい、そうです」

「で?」
「さらに靴の裏が白馬台高校の毒物窃盗犯のものと
ぴったり一致しました」

「ふむ、まちがいないな」
田中刑事、タバコに火をつけて、

「皮手袋、シアン化カリウムの空き瓶と、まだ
未使用のシアン化ナトリウムの瓶とが車のトランク
から見つかっている」