姫さまvs王子さま

バッドを持つ手に少しずつ力が入り
子守唄のようなベンチの音色が
徐々に大きく強くなる。

ポツポツ…と雨も降り出し
一滴一滴の雨粒が
顔を、体を濡らしていく…



それが“スイッチ”だった。



―――――突然、アタシの中で、何かが爆発した―――――




スッと立ち上がり
バッドを振った…




カンッッ!!!!



思い切りベンチに叩き付け
その後も数回振り続けた。


完全に頭がイカれたんだと思う。

激しくなる雨と
更に激しくなるバッドの打ち付け。
何がなんだか
どうしてこんな事をしているのか
アタシ自身にもわからない。


頭の中が真っ暗。
暴れまくっているのは
完全にヤケクソ。


すべて失って
これからどうしたらいいのか
どう生きていきけばいいのか
何も先が見えない。



妃「…ッ」



しばらく泣きながら暴れたせいか
急に苦しくなってバッドを落とした。

こんな事をしても
何1つ解決なんてしない。
何も変わらないのに
アタシは何やってんだろう…


ベンチに横たわり
冷たく当たる雨を全身に感じながら
静かに目を閉じた…。