姫さまvs王子さま

ベンチに横になり
暗闇の中
辺りをキョロキョロと見回していると
視線の先に何かが落ちているように見えた。

気になったアタシは
恐る恐る近付いてみた。



妃「…バッドとボール?」



野球をしていた若い男の子の忘れものだろうか。
遊びっぱなしで帰っていったんだな。
それにしても金属バッドって…
たぶん小学生じゃ持たせないだろう。
持ち主は高校生くらいか?

転がっている金属バッドとボールを拾い上げ
ベンチに戻り、ちょっと拝借。



妃「護身用にバッドを持ち歩くのも悪くないな…」



それはマズイか。
逆に殺(や)られる。
それに使い方を間違えているな。


カンカン…と金属バッドをベンチに軽く当て
響く音をボーっと聞いていると
それが徐々に子守唄のように聞こえてくる。
癒しと同時に
母に捨てられた現実が実感してきた。

それが無性に悲しくて…
怒りも込み上げてくる。