姫さまvs王子さま

母「あっそ。まぁアタシには関係ない事だし、勝手にすればいいわ。だけどアタシに迷惑掛けないでよね。お荷物は懲り懲り」



呆れて言葉が出てこなかった。
同時に悲しくなり涙も出てこない。

これが実の母親が言うセリフなのか?
母親って、みんなこんなものなのか?

散々な事を言っておいて
何も感じてないこれが
アタシの母親か…。



母「施設の住所はここに置いておくから」


妃「ここに…残る」



祖父母が残した平屋の家。
どこに行くより1番怖くない。



母「水道も電気も止まるわよ。残るなら自分で払いな」



そこまでするのか…



母「やっば!遅刻するじゃんッ」



ドタバタと身支度を済ませ
大きい荷物を持ち
玄関で高いヒールの赤い靴を履く母親の後ろ姿は
もう“母”ではなかった。

それを見たアタシは
今ここで“親子が切れる”覚悟をした。



妃「荷物になって、ごめん…」



そう言った精一杯の言葉にも
母は返事をしなかった。
顔すら、見る事はなかった。

きっとそれが返事なんだろう。
“さようなら”の…。