妃「今日は仕事じゃないの?」


母「今から」



あいかわらず分厚い化粧を施しながら
鏡越しの返事は素っ気ない。


早く仕事行けばいいのに…
なんて親不孝な考えを抱きながら
自分の部屋へと向かうが。

何かまだ“妙”なのだ。



妃「・・・は?どうなってんの」



やっと気付いた。


妙だと感じたのは
この家中の違和感だった。

そりゃそうだ。
どこを見渡しても
あの散らかっていた部屋が
綺麗に片付いているんだから。



妃「珍しく片付けたんだ」



部屋に向かう足を止め
ド派手なドレスに着替える母に問いかけた。



母「出て行くの」



返ってきた返事は
あまりに突然の家出発言だった。


妃「どういう事…?」


母「だから~アタシはこの家を出てくの」


妃「は?アタシはどうすんの!?」


母「さぁ?連れてくつもりないから、好きにしたら?あ~それと。学校には退学届出しといたから」