小指に繋がる一本の糸









手に刃物を持ったパパさん

汗だくで顔が青い琉依



「生意気な口きいてんとちゃうぞっ!!」



琉依…っ

よけられへん…?!






ふりかざされる包丁



知夏は思わず右手で包丁を掴んだ


「知夏っ…」

『痛いけど大丈夫』




「君は他人だろう?
関係ない
下がっててくれ」



『他人だろうと何だろうと関係ないです
暴力なんていいこと一つもないです
いい加減気付いて下さい』

「黙れ!!
こいつらが誰のおかげで食えていてると思ってるんだ?!
俺だ!!俺がいるから…」


『じゃあなんで結婚したんですか!!
どうして子供なんて作ったんですか!!』




『食べていれるのは俺のおかげ
当たり前やろ!!
パパさんがこの家支えてるんやろうが!!
何考えてるんですか!!
何があったんか知夏はしらんけど、ママさんや琉依やしぃちゃんを食べさせるのは、一生パパさんの役目ですよね?!
それくらいわかってママさんと結婚したんとちがうんですか?!
それを覚悟で琉依としぃちゃん、ママさんに産ませたんとちゃうんですか?!
わかってたんじゃないんですか?!
そりゃ、知夏の方がパパさんより何年も人生経験は少ないです
でも、琉依の気持ち、痛いほどわかります
仕事してないからパパさんが感じるストレスはわかりません
けどそれをこんな風に暴力って形で示すのはおかしいんじゃないんですか?!
暴力にすればパパさんの中のストレスは消えるかもしれません
でもママさんや琉依やしぃちゃんの心ん中には、恐怖心が生まれるんです!!
わかってください
周りの…家族の心の痛み
わかってください!!』



パパさんは腰を抜かしてその場に座り込んだ



『自分なりのストレスの発散方法見つけて下さい』




『琉依、立って』




『ママさん、もう大丈夫ですよ』


『パパさん』

『笑顔育てるいいパパさんになって下さい』



パパさんに微笑むと

パパさんも微かに微笑んだ