暫く無言のままでいると、じゅんさんがいきなりお湯を掛けてくる。あまりにいきなりの出来事で、思わず情けない声と肩が上がった。

「な、に」

 しまった。
 さっきあれ程思い知った筈なのに。
 つい口が開いてしまった。無意識の自分の行動に苦々しく思いながら、じゅんさんを睨みつけるように見上げ、ようとした。
 が、逆に両頬を押さえられて無理矢理顔を上げられる。勿論ここには私以外じゅんさんしか居らず、犯人はじゅんさんなんだが。だが、なの、だが。

 強い瞳でじゅんさんは私を射抜いた後、そっと、羽のように軽く私の唇に触れた。何度も何度も唇を重ねて、私の足の間に無理矢理足を割り込ませてくる。

「…っ!…ちょ、じゅ」
「どうかしてる。」

 帰宅して初めて聞いた言葉が
 どうかしてる
 なに、何がどうなって何だって?

 思わずじゅんさんを見て呆けてしまった。何もアクションが取れずにいると、じゅんさんが口を開く。

「すごくキスしたかった。すごくお前に触りたかった。…すげ、ヤバい」

 じゅんさんは疲れ切った様子で私の体を引き寄せると、ぎゅっと抱き締めた。