[side 喜瀬夏輝]

「次これ乗ろう!」

「なつ!観覧車!」

「ひゅーが君!行こ行こ」

何故こうなってしまったのか。

それは遡ること昨日。

「なつってひゅーが君と仲良いよね…うぅ…ごめんなさい…ちょっと不安になって…」

「大丈夫ですよ!上条君は友達です」

「でも…」

「大丈夫です!私付き合ってる人いるから」

「あ、そっか…よかった…よかったらダブルデートしない…?」

「え、あ、いいですよ」

って訳です。

「多軌君協力ありがと…」

「別にいいけど」

多軌君は優しい笑顔を私に向けてくれた。

「私服……可愛いな」

「何か言った?」

小さくて聞こえないよ。

「何でもありまセン」

そう言って多軌君は私の頬をつねった。

「意地悪」

「誰が意地悪だって?」

「痛い痛い痛い痛い!ごめんなさいっ!」

多軌君は手を離すとふふっと笑った。

「あー、お待たせー!」

「沢本さん!…に上条君」

ここからが本番な気がした。