────私とひゅーが君付き合ってるんだっ!

私のハツコイがまた終わった。

「大丈夫…なわけないわね」

哀緋ちゃんは心配してくれた。

正直とても悲しかった。

だけど上条君が幸せならそれでいいと私は思った。

「どした?なつ」

「多軌君っ」

多軌柊斗くんで中3の頃仲良くなった友だちだ。

「本当多軌はデリカシーがないわね」

「知ってるっつの、きのっち」

相変わらず仲悪いなぁ。

「きゃあっ、柊斗居るよっ!」

「かっこいー!」

そんな女子の会話をあたかも聞こえないかのようにスルーした。

「あの、さ。せっかくモテんだから他の女子の所行ったら?」

───バンッ

「俺はなつがいいんだよ!」

多軌君は机を叩いて言った。

まったく、と多軌君は言ってため息をついた。

ふふ、和むなぁ。

「あ、笑ったな!」

私が弱ってるときにかぎって笑顔にさせてくれる多軌君は大切な友だちだ。

「多軌君、ありがとう」

「ん?あぁ」

ニカッと多軌君は笑った。

ふと浮かんだのは上条君の顔。

えぇぃ!ちれちれっ!

私、諦め悪いなぁ…

「夏輝、私バイトあるから先帰るわ」

哀緋ちゃんバイト入れるの早いよ…

哀緋ちゃんらしいけども。

「喜瀬さん一人?一緒にかえ────」

「上条君には彼女いるでしょ、その子と帰ったら」

どうしてこう言う言葉しか出てこないのだろう。

私は走って駅のホームに向かった。