私は、目の前にいる人がまさか、先輩だなんて思ってもみてなくて、急に焦りだす。 そして、動揺を隠し切れていないまま、しどろもどろと言葉を繋ぐ。 「せ…せんぱ、い、だったん、です…か」 「気付くのおそ」 “せりざわ”先輩…は、私のカメラに触れるのをやめ、口角を上げて言った。 「男バス2年、芹沢登稀(セリザワトキ)」