靴箱を出て、中庭に行くと、後姿の水野がいた。 水野の黒髪は、まるで夜空に吸い込まれる様な綺麗な色のストレート。 肩につくかつかないかくらいの長さの髪の毛は、重たくなく、軽い感じで俺も好きだ。 そんなことを思いながら、何かを見上げている水野に声をかける。 「おまたせー」 その声に、水野は上げていた顔を少し下げてから、こっちを向いた。 人の声には敏感らしい。