「ほんっとすぐだったね」 苦笑いしながら私は言う。 「だから言っただろー」 蒼は私が眺めていた桜の木に目を移す。 「…綺麗だよね。この桜の木」 私は、正直言うと、桜の花が満開に咲いているときより、微妙な色合いの葉っぱが生えている今のほうが好きだ。 「俺、正直桜咲いてるときよりこっちのほうが好きかも」