俺はゆっくり顔を上げた。

水野の表情を見る限り、きっと今の俺たちの会話の意味が分からなくて困惑に陥っているところだろう。


もう一度しっかりと水野に向かい合い、俺はフッと微笑んだ。

「もう、バスケ部に近づくななんて言わねえから。あんな事言ってごめんな」


それだけ言うと、くるりと二人に背を向け、階段を下りていった。



心に重い鉛を残したまま。