「チャイム鳴ったけど」
私の背後から聞こえてくる、登稀先輩の深い声。
「あ…」
振り返ると、予告もなしに、直球に先輩と目が合う。
その瞬間私は思わず、サッと目を逸らしてしまった。
なんだか急に、鼓動が激しくなったから。
それが何故だか分からないけれど…
そんな私の様子を、先輩は言葉にもせず、ジッと見ている。
このどこかもどかしい雰囲気を早くどけたくて
だけど、さっきのシュート“かっこよかった”って素直に言いたくて
「じゃ…あ、私もう帰りますね。ありがとうございました」
軽くお辞儀をして、首にかけているカメラを取った。
─────なんか私、ほんとに変だ