ヒュッ───────── 先輩の両手から、ボールが放たれた。 その瞬間 カメラを持っている私の手に、また力が入る。 ボールは大きく綺麗な弧を描きながら、空を横切っていく。 ドクン、ドクン、 …これは、私の心臓の音? それとも────── 登稀先輩と一緒の呼吸を、 一緒の胸の響きをしているように、私には思えた。 そしてその何秒かの出来事が、すごく長いものに感じられた。