- 登稀side -



俺は、夢を諦めた。


だから、もう一つの夢だったバスケを、この2年間、毎日懸命にやってきた。



もう二度と、見なくてよかったのに。

見たくなかったのに。


見ると、あの過去が鮮明に思い出してきて、苦しくなるから。



なのに……────────────


少女の首に掛かっていたものは、泣きそうになるくらいの俺の心の重さ、

一眼レフの、カメラだった。