あたしは、回れ右をして走った。 けど、すぐに腕を掴まれて首に腕を回される。 「うっ‥‥」 「動くな。こ、こいつの首をへし折るぞ」 男の少し焦ったような声がハルの耳に届く。 「おいっ、そこの金髪兄ちゃん。こっちをみな!」 男の一言でさっきの喧騒がピタリと止み静寂が訪れる。 徐々に晴れていく視界。 その中でたった一人だけ立つ男。 ハル‥‥ どこの誰かも知らない男の顔を踏んづけてこっちを睨みつけていた。 「てめぇ、その人から手を離せ」