暗い夜道を細いライトが照らす。


大きなバイク音が響くせいで話すことはできない。


けれど。


ケイタの心臓の音……よく聞こえる……


背中にピタリと当てた耳から一定のリズムが刻まれる。


あ、もうすぐマンションの前だ


「ここらへんで大丈夫?」


玄関付近でバイクを止めて降ろしてもらう。


「送ってくれてありがと、ケイタ。あ、お礼にお茶でも……って仲良くしちゃダメ……なんだったね」


忘れちゃってたな


つい、いつもの感覚で言っちゃった


「誰でも、家に上げてんの?」