視線の先には


「‥‥マナ」


今にも泣きそうに、顔を歪めたマナがいた。


けど、視界の端で金色の髪が動いてすぐに視線を戻す。


「さっきから避けてばかりですけど、俺は殴れないんですかっ?」


「そんなわけないだ‥‥ろっ!」


右頬に重い一発をくれてやる。


「ぐっ‥‥」


少し距離を置きながら乱れた息を整えるハル。


その隙にもう一度マナのほうを向いて視線を合わせる。


そして、口パクで伝えた。


『大丈夫だから』