特攻服の裾を翻しながら、コツリ、コツリと踵を床に打ち付ける。


ゆっくりと顔を上げて、ハルのことを考えた。


感情は消せ。


今の俺に必要なのは、そんなんじゃねぇ


絶対に、取り返すんだ


あの時、誓ったんだよ


【マナを傷つける奴は、俺が潰してやる‥‥‥っ】


下唇をかんで、あの時の情景が脳裏をちらつく。


無意識のうちに、左肩を掴んでいた自分に呆れた。


まだ、俺も忘れてはいなかった。


忘れられなかった


あの時を思い出さないように、あの時のことを踏みつけるように俺は、バイクのアクセルを踏んだ。