さぁっと風が、あたしの髪で遊ぶように吹いた。


気持ちいい‥‥‥


初夏の風は嫌いじゃなかった


長くなった髪を、指でとかしながらくるくると弄んだ


「また、染め直さないと」


「俺も、その髪の色好きだよ」


緩く巻いた髪をひと束すくって、口元に運ぶ


毛先を赤く染められた髪は、まるで口づけをされ赤く照れているようだ。


結構色々な髪色を試してみたけれど、この髪色が一番のお気に入りだった。


なにより、ナオが初めて褒めてくれた色だったから。


いつも、染めることには反対派で染めたあとも少しだけすねていた。


だけど、この薄い栗色に毛先だけ赤色。