「いらっしゃいませー」


ハキハキとした声が、ふんわりした外装のカフェに不釣合いなほど響いた。


おしゃれな飾りをつけた天井から流れてくる風が、ドアを開けた彼にかかる。


「お好きな席へどうぞー」


あたしたち2人は、外のテラスへ出た。


中の方が涼しいかと思ったけど、冷たいものでも飲めば平気だと彼が言うから、がら空きだった席へ座った。


「ほんとに、外で平気?」


「うん、やっぱり。マナちゃんは優しい」


あたしの小さな意図に気づいていたのか、緩く口元が弧を描く。


あたしは、運ばれてきた黒いそれにミルクとシロップを入れて下から浮かせるように混ぜた。


彼は、その仕草を上手だねなんて言いながら自分のそれを、真っ白なストローの色を黒く染めながらミルクもシロップも入れずに吸い込む。