「あぁ‥ご苦労」


その塊の中にズカズカと踏み入っていく。


塊の目の全てが俺に向いた。


「今日は黒龍として、出向く。いいか?黙って俺について来い。俺と同じ景色が見てぇなら」


それだけ告げて、バイクに跨り虱つぶしに街を走った。


その日一日で『黒龍が復活した』『白龍は黒龍に潰された』だの、わけのわからねぇ噂が瞬く間に広まっていった。


『白龍と黒龍は付き合っている』


‥‥同一人物だっつーの!


アホらしい‥‥


家に帰ったとき、もしもマナと会ったらどうしようと考えた。


双子なのに、訳分かんねぇこと考えるな‥‥


だけど、マナに会うことはなかった。