「総長、行きましょう」


ハルがエンジン音を響かせながら俺を呼ぶ。


「わかった」


さっきから何度もちらつくあのじじぃの言葉をかき消すために、俺は暴れた。


ハルが言った通り、満腹になれそうだ。


有名なあの『白龍』ヤれる絶好の機会だといわんばかりに次々と男たちが群がってくる。


それを片っ端からぶっ飛ばして行った。


ようやくそれが終演を迎えたころ真っ白だった特攻服には、夥(おびただ)しいほどの鮮血がついていた。


背中の龍の目の位置にちょうど涙になるような血が付いていて、まるで俺の心の叫びのようだった。


いつの間にか真っ赤になった手。


隣を見ると、少しだけ息の上がったハルがいた。


コイツも俺が白龍の総長になってから数々の修羅場を共にしてきた。