シスコン総長VS溺愛総長!? 1R

「え‥‥‥」


ナオの力が弱まった。


あたしは下を向きながら、ボソリと呟いたことをもう一度繰り返した。


「嫌い。"ナオ"なんて‥‥‥大っ嫌いっ!!」


あたしは、ナオの方を一度も見ずにただ言いたいことだけ言って走り去った。


「マナっ!!」


そんなあたしを、ナオは追いかけようともせずあたしの名前を一度だけ、大声で叫んだ。


嫌い、嫌い、嫌いだよ‥‥‥


カナタを傷つけたナオも


それから、ナオにひどいことを言ったあたしも‥‥‥大嫌いだ


冷たい風があたしの頬を撫でるのとは裏腹に、熱いものがあたしの頬をとめどなく流れていた。


どこに行こうか考えていたわけもなく、あたしは無我夢中で家までの道のりを走った。