「ただいまぁ~」


昼過ぎ、家に帰りドアを開ける。


「おかえりっ!」


マナの幻影が一瞬浮かび、フッと消えていく。


「いねぇのに、言ってどうすんだっつの‥‥」


自嘲的な笑みを浮かべて、靴を脱ぐ。


広いリビングの机には、一枚の紙があった。


『ナオへ


帰ってきて、「ただいま」は言った?


言ってなかったら、玄関からやり直して入ってね


あぁ、ご飯たくさん作ったから全部食べてね


残してたら、3か月ご飯なしだからね?


              マナ』