~境界線~君だけの声が聞きたくて



瑞希ちゃんとの事があってから、なんだかずっと、心が晴れない。




「美月ー顔色悪いけど大丈夫?」



「………ゆず」






ーーー全部話してしまおうかと思った



話して、縋って、彼女に聞いてもらいたい。そして助けて欲しかった。



この想いから…




それでも口が開かないのは、やっぱりゆずにどう思われるのか、



離れて行ってしまわないかそれが不安で




そんな臆病な私なんかに優しく手を差し伸べてくれる。




「ん、大丈夫だよー」



そう言って力なく笑って、授業が終わりレオが待っている下駄箱に向かった。





「レオ!お待たせ!」




何事もなかったかのように笑う私。


無言でこちらをじっと見てくるレオ。


何だか見透かされそうで、目を逸らすーー…







「早く帰ろう?」


「………あぁ。」





いつまでこうやって一緒に帰る事が出来るんだろう。





なーんて意外にも頭は冷静で、レオが今何を思っているのか分かればいいのに…と切実に思う。






こうゆう時に限って、思いは伝わってこないんだよなぁ…







ーーー皮肉なもんだよね、






例え本当のキョウダイでも、例え血が繋がっていてもそれでも、私はレオのそばに居たい。






私はレオが好きだからーーーー…




この時は本気でそう思った。









今日は珍しくお母さんの仕事が休みで、家族3人で夜ご飯を食べる予定だった。



久しぶりにお母さんの手料理が食べれるんだと思うと、ちょっと心が弾む。





ーーートントントン


と規則正しいリズムが聞こえてくる。