~境界線~君だけの声が聞きたくて



「美月チャン?そんなとこで何してるの?」



「ハル……先輩っ?」




奇跡だ。
まさかハル先輩がここを通ると思わなかったーー!



普段だったら絶対にたよんないけど、今回ばかりはそうも言ってられない。




「…っ、ハル先輩!おんぶして下さい!」



目を見開き私を凝視する。




「あはは、どうしたの。とうとう俺に惚れちゃった?」



「…惚れてないです。動けないんです」




リアルに?とこちらを見てやっと伝わったのか、“仕方ないなぁ、美月チャンは”と言って私をおんぶしてくれる。





「あの、その言い方なんかイラっと来るんですけど。」



「あははー、下ろして欲しいのかな?」



「…………。」





落ちないようにハル先輩の首に手を回すと、ハル先輩が一瞬止まった。



どうしたんだろうと思ってハル先輩を覗き込むと、ハル先輩の顔が赤かった。




「はい、到着~」





そう言ってハル先輩は優しくベッドに下ろしてくれた。




先輩をジッと見てみる。
レオよりも明るい金髪。
それでいていつも私を笑わしてくれる。





「何、やっぱり俺に惚れちゃったの?」




私に覆いかぶさってそんなふざけた事を言うハル先輩。
さりげなく押し返す私。




「違いますから!押し倒さないで下さいよ!」



「えー、この体制ちょうサイコーなのにぃ」





ハル先輩をギロリと睨むと、手をグーにしてお腹を殴ってやった。



“グフッ”なんて声が聞こえたけど、私は無視してベッドに眠る。