「ん…」
テレビの音で小さく動いた叶愛は、俺を見上げた。
「あ、起きた? おはよー」
「…空汰君…?」
もう「くう」って呼ばないんだ。
目を擦りながらゆっくりと体を起こした叶愛は、今の自分の状況に顔を赤くして膝から降りた。
「わぁぁ…ごめん!」
「気にしなくていいよ」
「寝起き悪くって…」
「可愛かったよ♪」
俺がそう言うとまた顔を赤くしておろおろしている。
「や、大和にもこれでたくさん迷惑かけちゃたんだー…」
なんて落ち込んでる。
叶愛の口からあの男の名前が再び出てくるのは、喜ばしいことではなかったけど。
「そっか、俺なら大丈夫だよ」
と答えておく。

