「もー! さっきから聞こえてるよ、空汰君」
「え、マジ?」
「本当。とにかくもうすぐ引退試合なんだから、マネとして部員の体調管理は大事な義務なの!」
少し強めの口調でそう言われた俺は、可愛すぎる理由に笑みがこぼれる。
「なんで笑うの!」
「いや、だって……じゃあ凍弥を床に寝かせて俺らでベッドで寝ればいいんじゃない?」
本当に冗談で言ったつもりだった。
だってそんなの恋人でも兄妹でもない俺らには無縁の寝方で、想像もしてなかったもん。
あ、ごめん。
想像はしたけど(笑)
俺、死ねるもん。
そんなの、息出来ないよ。
とか…思ってたのに。
「狭くない?」
「平気だよ。空汰君こそ…壁当たってない?」
無縁の寝方が現実になってた。