バスから降りるときに片足を外した叶愛が足から道路に落ちていく。
俺も荷物を持っていて、間に合わない。
咄嗟に目を瞑ってしまった俺は情けない。
「相変わらず…」
痛々しい音は聞こえずに、低い声が聞こえて目を開ける。
知らない男が叶愛の頭を綺麗に受け止めてから、胸の方に引き寄せるのが見えた。
男の俺でもドキッとしそうな綺麗に整った顔が気だるそうに立っている。
「凍弥先輩!」
後ろにいた風花がバスを降りながら嬉しそうに叫ぶ。
こいつが凍弥……。
「えと、誰?」
「同じ高校の1年、野山風花です」
「ふーん…」