「わっ…」




 叶愛が座るのを待つまでにバスが動き出して俺の方に倒れてきた。






 額だけ前の座席に嫌な音を立ててぶつけた叶愛。






「だ、大丈夫…?」




 顔を覗きこむと、額に手を当ててゆっくりと顔を上げた。






「いたた……って、ごめっ…」





 俺の足と足の間に座った状態になっている叶愛は顔が真っ赤。





 急いで立ち上がろうとして、またふら付きさっきと同じ場所に戻るを3回ほど繰り返す。





「お、落ち着いて」

「いや、でも…」

「俺はこのままでも大丈夫だから」




 そっと後ろから叶愛の腰に腕を回す。




「うわわわわ…」

「な、何…叶愛?」