「叶愛、すぐに忘れろ…なんて言えないけどさ、あの男は忘れるべき」
そう言う空汰君は悲しげな目をしてて、しんみりとした空気が漂う。
大和を好きだった事や、自分より大和を優先してた事が間違ってたのかな。
恋するべき相手を間違えたのかな。
後悔は思ったより大きくて、自分でも驚く。
「今日は帰りたくないでしょ?」
「え?」
「あいつの所しか今はいくとこないんじゃない?」
「うっ…」
「図星〜」
くすっと笑った空汰君はまた私の腕を引っ張って、どこかに向かう。
「どこに行くの?」
「いいから、いいから」
見慣れない道を通って一軒家の前に立つ。
「ただいま〜」
空汰君は慣れた様子で、家の中に入る。
「空汰!! あんたこんな時間まで何してんの! 女の子みたいな顔してんだから、教われてもしらな……きゃぁぁ♪」
空汰君に殴りかかりそうな勢いで、飛び付いてきた女の人は私に抱きつく。

